『分かってたよ』


そんなことが分からなかった訳じゃねぇ。
ウソップに惚れてるって気付いた時から、分かってたさ。
ゾロから奪うことなんて出来ねぇって。
だからこそ、いい友人でいようと思ってたんだ。
そりゃ辛かったけど、それでもアイツの側にいられるのならと思っていたんだ。
ルフィにあんなこと言われるまでは。

もし、もしも。
ゾロとウソップが別れることがあったら?
そんな可能性を考えるようになってしまった。
あの頃、あの二人は、想い合っているのに、何故か壁を作っていた。
これは、もしかして、もしかするんじゃないか??

ゾロと別れたウソップは、ホントに本当にボロボロになっていて、そうさせたのは自分なのかと思うと、
自分勝手なこの計画に俺は呆然とした。
こんなの、こんなの、あっていい訳ねぇだろうが!

なのに。
俺は目の前のウソップを抱き締めずにはいられなかった。
溢れる想いを止められなかった。
抱いて、抱いて。
ゾロを忘れさせるほどに愛して。

だけど、無抵抗のウソップに、心はなかった。
あるのは、ゾロへの想いだけのように思えた。

分かっていたのかもしれない、ルフィの計画に乗った時から。
こうなることを分かっていて、ルフィの計画に乗ったのかもしれない。

今のお前の笑顔は、俺が一番見たかった顔だ。
その笑顔は、ゾロしか引き出せない。
分かってたよ。
そう、分かってた。

それでも、ウソップに伝えたかった。
お前が好きだと。
そして、完全に諦めたかった、お前のことを。
だから、だから。

分かってたよ。
こうなるって。

 


 

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「伝えたいこと」のサンジくんバージョンでっす。
人を好きになると、例え届かない想いだと分かっていても、心のどこかで自分の気持ちを知っていて欲しいって
気持ちになると思うんですよ。
そんな気持ちが分かってもらえればって思います。
次はルフィバージョンでっす。