『伝えたいこと11』


事の詳細を知ったのは、それからしばらくしてからのことだった。
サンジが、全てを打ち明けてくれた。

「ホントなら、顔も出せねぇとこだか、ちゃんと謝りたくてな…。」
サンジの笑みは、悲しく見えた。
俺はサンジを責める気にはなれなかった。
サンジの俺への気持ちは嘘じゃなかったし、あの時の俺は、そうされることを望んでいたから。
ゾロはそのことを分かっていて、俺に話さなかったんだと思う。

ルフィって子は、サンジが説得したらしかった。
わがままなヤツなんだよ、とサンジは言っていたけど、ゾロを好きになるなんてもしかして、
俺と気が合うんじゃないか、とか思ってしまった。
いつか…会ってみたい、そんな気がする。
口には出さなかったけど。

「ウソップ。」
「ああ、ごめん。」
あれから俺達は、何もなかったみたいに過ごしている。
時々、外を散歩なんかしたりするようになったのは、大きな変化だけど。
きっとどこかで、引け目を感じていたんだろうと思う、俺達は。
一緒に歩くと歩幅がこんなにも違ってて、時々離れてしまうこととか。
でもちゃんと、待ってくれることとか。
そうすると、ゾロは手を繋いでくれることとか。
手を繋ぐとキス以上にドキドキするってこととか。
そんなこと、全然全然、知らなかった。
そんな感じで、何年も付き合ってきたのがホントに嘘みたいで。

アパートに戻ると、直ぐにゾロは俺にキスをする。
それは俺も同じ思いで。
靴を脱ぐことさえも、もどかしい。
ベッドまで行くことだって、待ちきれない。
そうやって、転がり込むように部屋にたどり着く。

貪るように、でも丁寧に、俺の口の中を舐め尽くすゾロ。
それから、その行為は全身に及ぶ。
服の上からなのに、ゾロの唇や手が触れるだけで、俺はたまらなくて。
「んんっ…ああんっ…ゾロォ…早く脱がせてぇ…」
ゾロはニヤニヤしながら答える。
「いつの間にそんなにエロいこと言えるようになったんだ?ウソップ。」
「だ、だってゾロがそんなことするか…らぁ…ああっ!」
いつの間にか外されていたシャツのボタン、ズボンのベルト。
スッとゾロが、俺の肌に触れる。
それだけなのに、ゾロはそれだけしかしてないのに、俺はもうどうにかなりそうに熱くなる。

「ウソップ、どうして欲しいんだ?」
分かり切った、そんな意地悪な質問も、ゾロなら許せる。
「ゾロが…欲しいよぉ…。」
「ん、よく出来ました。」
その笑みは、なんかエロくて、意地悪そうなのに、ゾロが嬉しそうに見えるから。
なんだか俺も嬉しくて、直のこと感じてしまう。
もっともっと、そんなゾロが見たい。
こんな風にゾロを求めることは、しちゃいけないと思っていた。
いつかゾロを失う時の、ダメージが怖かったから。
でもそんなことは、その時にならないと分からないし、なんの努力もせずに、
失うこと前提に考えるのはおかしいと気付いた。
何より、俺は、ゾロが好きで、こうしていたいと思うから。

「やっ…ゾロ…俺もう、駄目かも…」
「煽るようなこと言っといて、そりゃねぇんじゃねぇの?」
「だって…ひゃ…ああっ、ん…駄目…だめぇ…!!」
「お前の声、スゲェ…くるな…!!」


ゾロ。
俺に触れて。
もっと、俺を抱き締めて。
もっともっと、俺にキスをして。
もっともっともっと、俺を愛して。
離さないでくれよ、ずっと。
ゾロ。
愛してる。

 

伝えたいことは、二人とも同じ。
伝えるべきことは、二人とも同じ。

「ウソップ、ずっと、俺の側にいてくれ。」
「ゾロ、ずっと、俺の側にいてよ。」

俺達の、伝えたいこと。

 


 

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終わりましたよ〜〜「伝えたいこと」!!
ええっと、目指したのは『昼ドラ』だったんです。
ドロドロ系のお話になればいいな・・・・って思ってたんですよ。
見事に玉砕いたしましたけど(笑)
結局はゾロウソ甘々かよって突っ込みは勘弁してください・・・よく分かっていますので。
で、続きがあります。
「サンジくんバージョン」と「ルフィバージョン」。
まあ、興味がある方は読んでみてやってください。