『好きなんて言えない3』

 



“ピンポーン”


「あ、は、はい!!」
慌ててドアを開けると、少し照れ臭そうに笑うゾロがいた。
「よお。迎えに来たぞ。」
「うん、サンキュ。」
俺も何だか照れ臭くて、へへへっと笑った。
ナミ…確かにデートっぽいよ。


「今日は食うぞ〜!昨日食えなかった分!」
「…だから、悪かったって。」
そんなやり取りをしながら、俺達は繁華街を歩いていた。
途中、すれ違う女の子達がみんな振り向いていく。
ゾロを見ている。
頬を赤らめて。
うん、分かるよ、その気持ち。
ゾロはカッコイイ。
そりゃあもうカッコイイんだ。
…なんか俺、釣り合い取れねぇよなぁ。
ふとそんなことを考えて黙っていると、
「どうかしたのか?」
と顔を覗き込んできた。
至近距離のゾロの顔に、俺は激しく動揺した。
「なっ!なんでもねぇし!」
裏返った声。
真っ赤な(であろう)顔。
どこがなんでもないんですか、ウソップくん。
だあああ…
こんな調子で普通になんて出来んのかよ、俺。


「ああ、ここにしようぜ!ここ美味いんだ!」
お目当ての店に着いた俺は少しホッとした。
食べてる時には意識しないでいられるだろうから。
一通り注文して、料理が出てくるまでの間、
やっぱりちょっと意識してしまって…
とにかくハイテンションで喋り続けた。
ゾロは穏やかに笑いながら、
「ああ」とか「そうだな」とか相槌を打っていた。
「そういや、なんで昨日はあんなに酔っ払ってたんだ?」
「あ?」
「だってゾロは酒に強いはずだろ?」
「あ…ああ、ちょっとな。」
言葉を濁したゾロは、窓の外に視線を移して、
決まり悪そうに頭を掻いた。
気のせいか、ちょっと顔赤い?
昨日のことを思い出す。
そうだよ、昨日に限ってナミがやたら俺にくっついてて…
え、もしかして。
頭に浮かんだ言葉は、
『嫉妬』
なんて……まさかね。
赤い顔のゾロを見てたら、なんかこっちまでドキドキして顔が赤くなる。
まずいって、ホントまずいって。
俺、告白するつもりないのに、俺の中は好きでいっぱいで、
今にも溢れ出しそうで。
ナミ、どうしよう。
なんかスゲェ胸が痛くなってきたよ。


そんな想いを必死で誤魔化し、
運ばれてきた料理を食べ、美味いだろ!と得意気に話す。
ホントは味なんかほとんど分かんなかったけど。
ゾロが美味そうに食べてたからいいけどさ。


「ご馳走様!」
料理を食べきってゾロにそう言うと、
「意外と食うんだなぁ。」
と、ゾロが笑う。
俺も笑う。
そうだよ、こんな感じ。
仲の良い友人。
自分に言い聞かせながら店を出た。


楽しい時間はあっという間だな、なんてしみじみ思う。
飯食っちまったし、あとは帰るだけだもんなぁ。
まさか、どっか行こうなんて言えねぇし。
来た道を帰りながら、なんだかテンションが下がる。


「ウソップ、お前、時間あるか?」
「へ?あ、ああ、いいけど?」


ゾロは少し考えるような格好をしてから、
「ちょっと、散歩でもすっか?」
と言った。
「散歩?!」
ゾロが散歩。
なんかイメージ違うし(笑)
「あ…駄目ならいい。」
「駄目とか言ってねぇし。」
いいな、しようぜ、散歩、
そう言うと、ゾロは決まりなと嬉しそうに笑った。


ヤバいと思う自分がいる。
このまま一緒にいると、ドンドン好きになる。
離れたくなくなる。
…友達じゃ嫌になる。
分かってる、分かってるのに。
ゾロといることが嬉しすぎて、速くなっていく鼓動を自覚せざるを得ない。


ナミ、俺、どうしようか…。






 



すっごい久しぶりに書きました、ゾロウソ。
正直自分でもこの先どうしたいのか分からなくなってしまって、自然消滅か?とまで思ってました。
先日突然続きを書きたくなって、ようやく再開です。
ぐるぐるしている二人を堪能していただけたらと思います。
ゾロウソ、長くなるんですよ、毎回。
そこんところ、了解して付き合っていただけたら嬉しいです。

 

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