a promise 4 − 笑顔 − 』(ゾロ)


 

「なあ、ゾロセンセ?」
「あ?なんだ、チョッパー。質問か?」
「うん。ゾロセンセ、なんかいいことあった?」
「は?」
チョッパーの言葉にギョッとする。
「ゾロセンセ、にこにこしてるぞ。いつもはムッツリしてるのに。」
思わず、ジロリと睨む。
でも、チョッパーはにこにこ。
「ゾロセンセが笑顔だと、俺も嬉しいゾ!」
少々面食らってしまった。
そんなに俺はいつも仏頂面なのか。
「そうか、ありがとな、チョッパー。」
「そ、そんなお礼なんか言われても、嬉しかねぇぞ!」
嬉しそうなチョッパーを見てなんだかおかしくて、声を出して笑ってしまった。
驚くチョッパー。
こんな気分になったのは、ホントに久しぶりだ。
俺はいつから笑ってなかったんだろう…。

 

家庭教師のバイトが済んで、アイツを待たせているファミレスへ急ぐ。
ホントに待っているのかも定かじゃねぇが、自転車を漕ぐペダルに力が入る。
もし待ってたら…そうだな、とりあえずノートの礼くらいは言わないとな。
何だかワクワクする気持ちを抑えて、店に入ると…
「…いた。」
なんとも、吹き出しそうになるくらい、緊張した面持ちのアイツ。
俺に気付くと、恐らくは精一杯の笑顔で(それとは言い難いものではあったが)
俺に手を上げて見せた。


「待たせて悪かったな。」
「い、いえ!そんなこと全くありませんです!」
「何だよ、その喋り方は。普通にしてろよ。」
「いえ、や、あの…すいません。」
どんだけびびってんだ、こいつは。
しばらく沈黙が続く。

いや、怯えさせてどうするんだよ、俺は。
緊張してんのか?
なんか上手く話せねぇ。

「あ、あの…ロロノアさん?」
「え?ああ、ゾロでいいよ。そういや、まだ名前聞いてなかったな。」
「あ、すいません。ウソップ…です。」
何だか謝ってばかりの『ウソップ』。
「そ、その…ゾロさん、何か僕に用があったんじゃ…?」
「ああ…そうだ、ノート、礼が言いたかったんだ。」
それを聞いたウソップは、ようやく顔の緊張が溶け、ほわっと笑った。
きっと俺を待っている間、緊張してガチガチだったに違いない。
そう思ったら、何だかウソップが可愛らしく見えた。


「ウソップ、さ」
「は、はい?」
「ずっと、俺のこと見てただろ?」
「!!」
ウソップの表情が凍りつく。
それから青くなって、口がパクパクしたかと思ったら、今度は赤くなった。
その様子があまりにもおかしくて、俺は吹き出してしまった。
バツが悪そうに頭を掻きながら「…はい、見てました。」と素直に白状したウソップ。
なんだコイツ、すげぇ可愛いやつだなぁ。
真っ赤になるウソップを見ながら、俺はなんだかくすぐったいような
ほんわかしたものを感じ取っていた。
なぁ、ウソップ。
俺達、ずっとこうしたかったんだよな。

 

 

 

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