a promise 16 − 約束 − 』(ウソップ)


ゾロが大学に合格した。

ゾロなんだから当然だ、と思ってたけど、かなりの難関だったらしく

ホントにすごいことだとサンジが教えてくれた。

 

あれから。

あのクリスマスの夜から、ゾロとはまめに会うようにした。

会うと言っても、俺は勉強してるゾロの背中を見てるだけで。

帰る時にゾロが抱きしめてくれて、俺はゾロに抱きついて、キスして。

何も出来ない自分が嫌だと言ったら、

「お前がいてくれたらいいんだよ。」

とゾロは笑って言った。

だから…合格は自分のことのように嬉しかった。

 

だけど。

合格したら、ゾロはこの街からいなくなる。

大学のある街へ引越してしまう。

会えなくなる。

そう思うと、素直に喜べなかった。

「分かってたことなのになぁ…」

結構独占欲あったんだ、と自己発見。

 

そんな時、ゾロが誘ってくれた。

「ウソップ、デートしようぜ。」

 

なんてことない、待ち合わせして、俺の希望でウィンドウショッピングして、

昼飯食べて、ゾロの希望でゲーセン行って。

すごい普通なことなのに、すごい楽しくて、すごい幸せで。

この時間が永遠ならいいと、本気で思った。

 

「な、俺ウソップと行きたいとこあんだけど、行かねぇか?」

「ん?いいけど?」

 

ゾロが連れて行ってくれたのは、小さな教会だった。

「…教会…だよな。」

「ああ。俺の知り合いが神父なんだよ。」

「ふうん。」

ゾロと教会。

なんか違和感だよな(笑)

 

中に入ると、特にこれといって信仰している訳でもないのに背筋が伸びる感じがした。

 

「お待ちしてましたよ、ゾロさん。」

「おう。無理言って悪かったな。」

「ヨホホ、何を言うんですか、水臭い。」

 

細くて背が高くて…アフロ?(汗)

微妙な表情をした俺に気付いたのか、神父は笑顔で俺に言った。

 

「初めまして、ブルックといいます。アフロは…私の命です!」

「は?」

いや、意味が分からない(苦笑)

「ブルック神父は、ちょっと変わってんだよ。」

ゾロ、ちょっとか?

「私はね、自分に素直に生きているだけなんですよ。」

ヨホホと笑う神父は、なんだか満足そうで、迷いがなくて。

そういうの、素敵だなと思った。

二人はどうやら剣道をしていた時からの知り合いらしい。

しばらくはそんな話をしていた。

 

 

「では、ゾロさん。よろしいですか?」

「あ、ああ。」

ゾロが俺の手を引いて、教会の中央まで連れて行った。

そして俺の顔を見て、フワリ、と笑った。

何があるんだ?

ドキドキとする俺をヨソに、ブルック神父は俺達の前に立った。

 

「では。」

コホン。

「ロロノア・ゾロ。汝は、病める時も健やかなる時も、ウソップを一生の伴侶として

 共に歩んで行くことを誓いますか?」

え…ええーー?!

何これ、結婚式??

開いた口が塞がらない、なんなんだよ、いったい?!

「はい、誓います。」

「ゾ、ゾロ…?」

驚きのあまり、それ以上何も言えなくて…。

 

そんな俺を優しい目で見ていたゾロが言った。

「なあ、ウソップ。俺はウソップとずっと一緒にいたい。

だけど、俺はこの街を離れるから…。」

そう、そうなんだ。

ずっと一緒にいたいのは、俺も一緒なのに。

 

「二年。」

「二年?」

「二年経ったら、ウソップは高校卒業するから…そしたら…」

ドキドキする。

やばい、涙が出そうだ。

「そしたら、一緒に住もう。」

涙が溢れる。

嬉しくて、切なくて。

何も言えなくて。

 

「ゾロさんは、きちんと貴方と約束したかったそうですよ。」

だからここに、とブルック神父は微笑んだ。

 

「なあ、ゾロ。」

「ん?」

「それって…プロポーズか?」

は?という表情の後、ゾロでは有り得ないくらい真っ赤な顔になった。

なんだかとても可愛らしくて、思わず吹き出してしまった。

「普通、順番逆だろ〜?!プロポーズしてから、結婚式だって!」

そうか?的な顔をするゾロを見ていたら、なんつうか、ゾロらしいなと思った。

 

なあ、ゾロ。

なんか不思議だよな。

初めは俺が、ゾロを確認することしか出来なくて、視線を送ることが精一杯で。

言葉を交わしたことで、気持ちがどんどん変化して、

お互いの笑顔に惹かれていったよな。

サンジにゾロ頼むって依頼された時は驚いたし、男同士なのに、

好きだなんてこと自覚するのは、なかなか大変で。

でも、ルフィの後押しもあって、俺はゾロ好きだってことを発信する決意をしたんだ。

もちろん、動揺もしたけど、俺達はそれ乗り越えることが出来た。

それなりの、勇気もいるし、衝撃もあったり、

当たり前だけどスゲェ覚悟がないと付き合ったり出来ないし。

会えない時は、本当に暗闇のようで、どんだけゾロ好きなんだって思ったよ。

一線を越えられない俺を待って、ゾロが自制してくれたお陰で、

俺はゾロとどんな風になりたいのか、やっと理解出来た。

俺、幸せだよな。

ずっとずっと、ゾロと一緒にいたい。

だから…。

 

「ブルック神父、俺にもお願いします。」

お?と言う顔のゾロと、微笑むブルック神父。

 

「ウソップ。汝は病める時も、健やかなる時も、ロロノア・ゾロを一生の伴侶として

 共に歩んで行くことを誓いますか?」

「…はい、誓います。」

 

約束しよう。

俺達はずっと一緒だ。

ゾロがいい。

ゾロじゃないと嫌だ。

「二年後、約束したからな。返品効かねぇぞ。」

 

ゾロが笑う。

「ああ。お前こそ、忘れんなよ。」

そう言って、ゾロは俺を抱き締めた。

こんなにも。

好きだよ。

ゾロの腕から伝わってくる。

 

それから。

誓いのキスをした。

 

 

 

「愛してる。」

「俺も。」

 

 

 

 

永遠に、約束しよう。

ずっと、一緒に。

 

 

 

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ここまでで、2部終了です。
いや・・・長かったよな・・・ホント無駄にw
楽しかったけどね!
で、2年後の彼らをちょっとだけ妄想してみました。
次で、ホントに終わりです。