『それが、俺の答え』


 

「なんのつもりだ。」
ゾロの低い声。
ハッと我に返る。
「あ…俺…」
何も言えなかった。
自分のしたことを、ゾロが納得出来るだろう理由をつけて説明することなんて、俺には出来なかった。

「どけよ。」
嫌、だった。
このまま、ゾロを抱きしめていたかったし、もっとキスをしたかった。
ゾロとのキスは俺にとって、麻薬のようだった。
「嫌だ。俺、ゾロが好きだから。」
ゾロの切長の目が大きく見開かれ、それからため息をつく。
「あのな、お前…」
「分かってる。」
ゾロが何を言おうとしているのか、分かっていた。
俺も、ゾロも、男だ。
「それでも俺はゾロが好きだから。」
言わねぇはずだった言葉。
伝わらねぇはずだった想い。
なんでこんなことになっちまうんだ。
俺は、ゾロを困らせたくなかったのに。

涙が溢れた。
後から後から溢れて止まらなかった。
カッコワリィとか、情けねぇとか。
そんなんどーでも良かった。
俺はゾロが好きで、離れたくなくて。
だけど、困らせてしまった自分がどーしようもねぇヤツに思えて。
泣いた。
ゾロにしがみついて泣いた。
声を押し殺して、ただしがみついて。
分かってたのに、言ったらダメだって。
それなのに、溢れる想いは止まらなくて。

 


少し泣いたら、なんだか冷静になってきて、こんなことしてホントどうしようもねぇなと半ば呆れた。
「…ごめん、ゾロ。」
ゆっくりとゾロから離れる。
大きく深呼吸した。
「酔っちまったかな。今日の俺、なんか変だ。」
笑顔を作った。
ゾロは黙っていた。
ゾロの視線は感じるけど、その瞳を見ることは出来なかった。

「もう、寝るわ。」
立ち上がろうとした時。
「待てよ。」
ゾロがその行動を制した。
「俺はまだ、何も言ってねぇぞ。」
そう言って、ゾロは起き上がった。
無造作に頭を掻くと、口をヘの字にしたまま話始めた。

「お前が俺を見ていたのは知ってた。」
「ええ?!」
「…意外そうな返事だな。あんなあからさまに人の顔を覗いといてよ。」
呆れた顔をするゾロ。
俺は苦笑い。

「悪い気はしてなかった、正直。」
ゾロの言葉に驚く。
嫌だとか、気持ちワリィとかならまだ分かる。
ワルイキハシテナカッタ?

「なんつうかな、人から求められるっつーのはいいもんだなと思ってた。
 まさか、告られるとは思ってなかったがな。」
ククッと肩を震わせてゾロは笑った。
「…ゾロ。」
やっとのことでゾロの顔を見る。
あの、色っぽいと思った、目、だった。
ドキドキして、言葉が出ない。
今きっと、顔が真っ赤だ。

「キス。」
「え?!」
思い出してクラクラとする。
「上手いじゃねぇか。」
「ええ?!」
俺はただただ夢中だっただけで。
ゾロは相変わらず、あの目で俺を見ていた。
まるで。
誘っているかのように。

「…して、いいか?」
ゾロは何も言わなかった。
言わなかったけど、唇の端が少しだけ上がった。

俺は、少しだけ顔を右に傾けて、キス、をした。
ゾロの唇の感触が、全身に伝わる。
まるで身体中が心臓になったみてぇな感じがした。

そっと頬に触れると、ゾロがビクッと身体を震わせた。
こんなゾロは見たことねぇ。
なんか…すげぇ可愛い。

ゾロを抱きしめて、思った。
俺、絶対絶対、離したくねぇ。
ゾロの全てを俺のものにしてぇ。

それは、初めて認識した『独占欲』で。
それは、俺の心を瞬く間に支配して。

俺はきっとゾロ無しでは生きていけねぇ。
絶対にゾロを離さねぇ。
俺達にとって、それが正しいことかなんて分かんねぇけど。
けど、けど。
俺はゾロと共に生きる。


それが、俺の答え。

 

 


 

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ルフィが、ルフィが〜〜・・・大好きですw
初めてルゾロ(ゾロル?)の続き物書きましたね〜〜!
今ひとつ、不完全燃焼なんですけど、いいか(いいのか)
ゾロもちゃんと健康な男子ですので、初恋もしてて、普通に女の人が好きで。
でも、ルフィならいいかなって思ってるんじゃないかと。
ルフィなら・・・むしろルフィがいい、とかw