『New Entry』
こいつらのことを心底気に入ったから、船大工を請け負うことにした。
麦わらの仲間に対する何の躊躇もない思い。それを正しいと信じて疑わないクルー。
いいじゃないの、気持ちのいい奴らじゃないの。
夢の船にふさわしい、オレの認めた海賊団だ。
「…で、あいつら何やってんだ。」
「あら、フランキー。見て分からない?」
「見てって…」
比較的、波も穏やかな昼下がり。
女共はティータイムを楽しんでいる。
男共は…
「ルフィ!新しい釣竿を作ったんだ!今度は必ず釣れる上に大物限定だぞ!釣りしよう!な!?」
「それよりこれ食べてみてくれよ、ルフィ。肉を使ったデザートを考えてみたんだ。
自信作だからな、くそ旨いぞ!食べてみたくなっただろ?!」
「こんないい天気の時は甲板で昼寝に限るぜ、なぁルフィ!オレが言うんだから間違いないっ!気持ちいいぞ!最高だぞ!」
「ん〜どうすっかなぁ〜迷うなぁ〜」
「オレには麦わらを取り合ってるように見えるが…」
麦わらを中心に腹巻にまゆげに鼻の兄ちゃん。
その周りをキラキラした目でうろついてるシカゴリラ。
「その通りよ」
「フフフ、ああもあからさまじゃ分かって当然かしらね」
「…この船じゃぁ船長のご機嫌伺いがあるのか?」
「ないわよ、そんなの。私達がしているように見える?」
「彼等は望んでやってるのよ。みんなルフィが好きでしょうがないのね。」
「な、なにーー?!じゃなにか、あいつら変態か?!」
「あんたに言われちゃあいつらも立つ瀬がないわね。」
「…何から何までスーパーな奴らだぜ…」
「でね、ただ見てるだけじゃうっとーしいからさ、賭けてるのよ。」
「今日は誰がルフィを独占するのか…フフフ、素敵でしょう?フランキー、あなたもどう?」
「はっ、何だか分からねぇが面白そうだな」
確かに、見てるだけだとうっとーしいからな、女共の暇つぶしに乗ってみるか。
「私はゾロね」
「じゃあ私はウソップにするわ」
「となると、後はまゆげの兄ちゃんだな…」
そんなやり取りを知ってか知らずか、男共の攻防は続いている。
分からねぇ、訳でもねぇ。麦わらには底知れぬ魅力ってもんがある。
海賊船にはよくある話だし、男が男に惚れるなんてことは色恋抜きにして、俺はいいじゃねぇのと思う。
相手があの麦わらだって言うなら尚更だ。
「麦わらの魅力…か」
ふうむ、なんか面白そうじゃないの。
自然に口の縁が上がる。
「今なんか言った?フランキー。」
「…エントリーの変更は可能か?」
「はぁ?」
「俺様は、俺様に賭けるのさ。」
「フランキー、あなた…!」
俺は男共に向かって歩き出した。
麦わらの魅力を知りてぇ、俺様以上のカリスマを持つ麦わらの魅力。
そう、それだけだ!!
「おい!麦わら〜!今日はこの俺様直々に、このスーパーなサウザンド・サニー号の案内をしてやるぜ!
まだまだ話してない機能もあるからな、ちょっとした冒険気分を味わえるぞ!」
「ぼ、冒険?!行く行く〜〜!!」
「オレも行くぞ、冒険〜!」
「「「ル、ルフィ?!」」」
目が星になった麦わらとシカゴリラが俺に付いてくる。
後には間抜けな顔した三人が残された。
俺は女共に視線を向けて、ニヤリと笑って見せた。
「フフフ、やってくれたわね、フランキー。」
「冒険なんて、ルフィが一番好きな単語よ。やられたわね。」
「でも…ということは」
「そうね、ということは」
気分上々!後は麦わらの魅力がどんなもんか、知るだけだ!!
「次回から人数が増えるってことね」