『告白〜好きだ〜』

 



なんなんだ。
なんでこんなことになったんだっけ?
今日は俺の誕生日なのに、なんでこんな罸ゲームみたいなことになったんだ?

今、俺は『ゾロ』を背負って歩いている、それこそ這うようにして。
重い。
そりゃそうだ。
ゾロは完全に酔いつぶれていた。
酔っている人間ほど重たいものはない。

「ゾロ〜いい加減、目を覚ませよ〜」
何度声を掛けても、あーとかうーしか言わない。

大体、なんでゾロこんなに酔っ払ってんだ?


◇   ◇   ◇


「ウソップ、あんた今日誕生日でしょ?」
バイト先へ行くと、開口一番にバイト仲間のナミが言った。
「おお、よく知ってんな。」
「当然でしょ、飲み会のネタは全てチェック済みよ。」
オイオイ。
祝う気はねぇのかよ。
「仕事終わったら、みんなで誕生会するからね。どうせ何の予定も入ってないでしょ、感謝しなさい。」
…素直に感謝出来ないのは、何ででしょうね、ナミさん。


バイトが終わって、いつもの居酒屋に集まる。
今日はいつもより人数が多いなぁ。

あれ…ええっ!
ゾロだ、ゾロがいる!?
(お、おい。ナミ!)
「んー?何よ小さな声で。」
(な、なんでゾロがいるんだ?アイツいつ誘っても全然来ねぇとか言ってたじゃねぇか。)
「今日はすんなり来るって言ったわよ?」
(なんでっ?!)
「さあ。なんでかしらねぇ〜」
不気味に笑うナミ。

俺はゾロが苦手だった。
なんでって…
あんましゃべんねぇし、何考えてんのか分かんねぇし。
何より、すげぇカッコいいから。
やっぱカッコいいやつに対して、それなりにコンプレックスを感じるっつーか。
それと…なんかドキドキ…すんだよな。
多分そんな感じで、苦手、なんだ、うん。

「お前誕生日なんだってな!今日は俺の奢りだ!」
店主のサンジの宣言に、否応が無しに盛り上がる。
珍しくナミが俺にくっついてきて、やたらベタベタとしていた。
俺だって男だし、嬉しいはず、なのに。
なぜか、ゾロのことが気になって仕方がなかった。
ナミが腕を絡めてきても、ああ今のゾロ見てなかったか?とかさ。
…なんで。
なんでなんだ。
そんな風に思い始めた時、ナミが耳元で囁いた。
(誕生日プレゼント、楽しみにしててよ!)
「へ?」
な、何?
プレゼント??

ナミに聞き返そうとした瞬間。

ドサッ。

皆が振り向いた先には。

「お、おい。ゾロ?!大丈夫か?!」
ゾロが倒れていた。
どうやら飲みすぎみたいだけど…あれ?ゾロってアルコールに強いんじゃなかったっけ?

「あらら〜ゾロったら酔いつぶれちゃって。」
ナミが言う。
なんか、ニヤリな感じがするのは気のせいか?
「じゃ、ウソップ、お願いね。」
「は?何が?」
「か・い・ほ・う♪」
「はぁ?!」

 

◇  ◇  ◇


そして、今に至る。
ゾロんちなんて知んねーし、聞いても答えねーし。
仕方なくうちへと向かっていた。
タクシーもつかまんなくて、ホント最悪だ。
「なあゾロ〜、目覚ませよ〜。」
「うあ…おお、なんだ?」
あ、反応あり。
「ゾロ大丈夫か?お前酔いつぶれちまったの覚えてるか?」
「…ウソップ?」
「あ?ああ、俺だよ。ウソップ。」
途端。
ゾロが背中で大きく動き、元々ギリギリでおぶってた俺は、バランスを崩して後ろへひっくり返った。

「だあ!ゾロっ!だ、大丈夫か?!」

慌てて振り返って、ゾロを見た。
あり得ないくらい真っ赤な顔をしたゾロ。
いや、酔っ払ってたから赤い顔はしてたんだが…なんつうか、更に真っ赤で。
大きなゴツい手で口元を押さえ、あの切長の目が大きく見開かれて。
『信じらんねー!』
って、分かりやすいリアクション。
なんだよ、俺で悪かったのかよ。

「あのさ、とりあえず、歩けっか?」
答える変わりに、立ち上がろうとしたゾロだけど、無理っぽい。
ゾロを支えて歩けって言われても、ちょっとキツイ。
はぁ…仕方ないよな、この場合。

「おぶってやるから、俺んち泊まってけよ。すぐそこなんだ。」
速攻、ゾロはブンブンと首を横に振ったけど、気持ち悪かったのかすぐにうなだれた。

「諦めろ。」
コクン、とうなづく。
なんか、可愛いと思ってしまった。
そんなこと言ったら、きっと物凄い勢いで怒るんだろうけど。

改めて、ゾロを背負う。
ちゃんと捕まってくれてる分、さっきより楽だ。
「ワリィな。」
「おう。高くつくぜ。」
背中のゾロが、クスリと笑った。
耳元だから、くすぐったかった。

アパートに着いて、
「ゾロ、着いたぞ。」
と言って、ゾロを降ろす。
背中の重みが消えてホッとする。
あれ?
捕まっていた腕がそのままだった。
まるで、後ろから抱き締められてるかのようで。
寝てる?のか?
「ゾロ?」
ゾロの腕に力が入った。
え?何??

「…ウソップ……」
「あ、何だ、起きてるじゃねぇか。」
振り向きかけた、その耳元に。
「好き…だ…。」
え?
「ウソップ、好きだ…」
その瞬間。
身体中に何が走り抜ける。
心臓が飛び上がったかのような衝撃。
な、な、何だ、俺。
何でこんなに嬉しいんだ?!

「あ、あの…ゾロ?」

ズルズルと。
ヘタリ込むゾロ。
「ゾロ?!」
え?
スースーと寝息をたててる。

お、おい。
嘘だろ〜!?
さっきの何だよ!!
爆睡するゾロは、なんか嬉しそうなんですけど?!
俺はどうしたらいいかさっぱり分かんねぇんですけど?!

頭ん中ハテナだらけだけど、嬉しそうなゾロを見てたらなんか俺も嬉しくて。
今夜はこのまま寝かせてやろう。
もしかして、さっきの告白は何かの間違いかもしんねぇけど。
俺は自分の気持ちに気が付いた。
それだけで、何か嬉しい。
そりゃ、前途多難なのは分かってるけど、でもそれでも。
俺にとっては最高の誕生日プレゼントだ。


もしかして…ナミが言ってたプレゼントって、このことか?!

 



 



告白シリーズ第三弾!!
アーーンド、ウソ誕SSだよ!!
実はこの設定、告白シリーズ考えたときに、一番最初に思いついた設定なんですよね。
一部の設定だけ思いついて勢いで書いたので、ダラダラと長くなってしまって・・・かなりカットしました。
正直、続き、書きたいかも(笑)
ゾロウソ長くなるなぁ〜なんでかなぁ〜〜。

 

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