『帽子2』

 

 

映画を見て、ファーストフードの店で、映画の話やウソップの話で盛り上がり、

時間はアッと言う間に過ぎていった。

まだゾロ先輩と一緒にいたいと思っても、時間は無情に過ぎていく。

夕焼けが、更に名残惜しい気持ちを増長する。

 

「こっから駅へは、この公園通ると近道なんだ。」

ゾロ先輩が指差した方向。

こんなとこに公園なんかあったんだ。

周りから見ると鬱蒼とした感じだったから、中が通れるとは思っていなかった。

「へえ、知らなかった。」

「結構知らないヤツ多いんだよ。」

ゾロ先輩に付いて公園に入った。

ゾロ先輩は歩くのが速い。

遅れないように速足で歩いた。

そんなに速く歩かないで…一緒にいる時間が短くなる…!

そんなことを考えながら歩いていたら、ゾロ先輩が急に立ち止まった。

そして振り向いた。

俺に向かって、手が伸びた。

 

ええ!?

なになになに??

 

ゾロ先輩の手が、帽子に触れた。

スポッと帽子を取ると、

「直ったな、寝癖。」

と言って笑った。

「ああもう!忘れてたのに!」

「すまん、すまん。あんまりインパクトがあったもんだから。」

クックと笑うゾロ先輩から、目が離せない。

「あ…でも、ホントに帽子、いいんですか?なんか高そうな感じなんですけど。」

「んあ?いいぞ、俺もよく分かんねぇや。姉貴がくれたやつだから。」

「え!?そんなの余計貰えない!!」

「気にすんなよ。どうせ彼氏からなんかのペナルティで取り上げたヤツだろうから。」

…どんな姉さんですか…。

 

ゾロが帽子のツバを持って被せてくれた。

ゾロ先輩の動きが止まる。

「ゾロ先輩?」

帽子のツバを俺の後頭部の方へクルッと回した。

 

 

ゾロ先輩は一瞬躊躇して、

俺のオデコに唇を触れさせた。

 

「ゾロ…先輩?」

心臓が飛び出すんじゃないかと思うくらい、

バクバク胸が鳴っていて、

やっとのことで出た言葉だった。

ゾロ先輩は帽子を元に戻すと黙ったまま俺から離れて、背を向けた。

 

短い沈黙。

 

「また…映画、行こうな。」

 

そう言ったゾロ先輩の耳が、真っ赤になっていた。

それはきっと、夕焼けのせいだけじゃないよね、ゾロ先輩。

 

「…はい!」

 

ゾロ先輩の腕に、俺の腕を絡ませる。

きっと俺の顔も、夕焼け色だ。

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

「ゾロ先輩、高くつきますよ…病気の振り。」

「バカッ!黙っとけよ!!」

「え?なになに?」



 



実は、結構苦戦して書いてます・・・。
ゾロルのパラレルって書いたことなかったから(苦笑)
続き読みたいなぁってharukiさんの一言でやってみようと思う私は単純ですね。

こんなお話でも喜んでくださったharukiさんには感謝感謝です!!

←BACK     NOVEL TOP