『 新婚サン 』


ルフィとゾロが結婚した。
結婚式やら披露宴までやった。
二人ともタキシードで、めちゃくちゃかっこ良くてさ。
ルフィはあの太陽みたいな笑顔炸裂だし、
ゾロはなんか照れ臭いんだろうけど怖い顔すんなって感じだったし。
時々見せるはにかんだような微笑みには驚いた。
男同士だろとか諸々、いやもう突っ込みどころ満載だって思った。
でもすげぇ幸せそうで、無駄だと分かってたから諦めた。
あの二人なら、まあ有りかとも思ったしな。


「なあなあウソップ。シンコンサンって何だ?」
「…何の冗談だよ、それは。」
んんん?と首をかしげるルフィはどうやら大真面目だ。
あの盛大な結婚式から三日後のこと。
新婚サンっておまえらのことだろうがって突っ込みはとりあえず飲み込む。
俺は発明稼業を中断し、ルフィの正面に座った。


「最初から話せって。誰が新婚サンとか言ったんだよ。」
「ナミとサンジとロビン。」
またアイツらロクでもねぇことを。
面白がってるとしか思えねぇ。
「新婚サンが、何だって言われたんだ?」
「んーと、シンコンサンは二人でシンキョに住んで?だったかな?」
おいおい、うろ覚えかよ(笑)
まあ何となく見当はついたけど。
「で、ルフィは新婚サンが分かんねぇのか。」
「おう!あとシンキョも!!」
分かんねぇことを嬉しそうに宣言すんなって。


「新婚サンってのはな、結婚したばっかの人のこと。新居は〜まあ新たに住む家のことかな。
 新婚サンってのは夫婦で住むことを、新居を構えるって言うからなぁ。」
んー??と、やはり首をかしげるルフィに、苦笑いする。
もちっと分かりやすくしないとダメか。
「ルフィとゾロみたいに最近結婚した人のことを新婚サンな。」
ウンウンとルフィが頷く。
「で、新居は新婚さんが住む新しい家ってとこだ。」
ルフィの目がキラキラと輝く。
「んじゃあ!おれとゾロは新居に住むんだな!?」
「…は?まあ、そうだけど…いや!それは一般的な話でだなぁ…」


もういない。
何やら叫びながら走っていっちまった。
…ああ、嫌な予感しかしない。
「あ〜あ、知らないわよ〜」
振り向けば、この件に関しての元凶が微笑んでいた。
「…ナミ…俺のせいかよ。」
「私は何もしてないわ〜」
悪い笑顔は慣れっこだけど、なんか溜め息出てしまう。
新居…ルフィならどうすんのかな。
新たに部屋っつってもなぁ。
妙なことになんなきゃいいけど。


数時間後。
甲板の芝生の上に小さな小屋が建った。
小屋っつうか…小さいけどちゃんと家だ。
その家…多分新居…の傍らには、ルフィとフランキーの姿が見える。
「すっげー!!これが新居か!!」
「おうよ!!こないだ寄った島で見た家がなかなか凝ったのでな。作ってみてぇと思ってたとこよ!!」
この間寄った島…
なんかやたら可愛らしい感じの…
フェアリータウンとか言ってたな…
ああ…正に新居(苦笑)


ロビンは可愛らしくて素敵ね、と笑顔でルフィに話し掛けてるし、
サンジは腹を抱えて声が出ないほど笑ってる。
チョッパーは単純にすげーなぁ!と目がキラキラ。
ブルックは家にピッタリな可愛らしい曲を弾きだした。
ナミは…ああもう振り返るのもこぇーよ(涙)


ゾロは唖然と新居を見つめ、一瞬こちらを凄い目で見た気がするけど、いいだろ別にお前は。
ルフィの顔を見るなり、万更でもない表情になったゾロを見てほれ見ろと俺は思った。
そうだな、褒めて欲しいくらいだ。
二人が幸せそうにしてるのを見ると、何だかんだ、俺達も嬉しいから。
うん、さすが、俺。
Good Jobだな(ニヤリ)


新婚さんってやつは、見てるだけで幸せになる。
ちっとだけ、妬けるけどな。


その夜は、引っ越し祝い(?)の宴で大いに盛り上がった。


2012.11.07


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ほんとに今更ながらなんですが、友人のH子さん引っ越し祝いSSです。
ほら、新居って・・・・(無理がある・・・・)
引っ越し9月末でしたら、一か月遅れです、ごめんなさい。
めでたくプレゼントしたんですが、こっちも寂しい限りなサイトなのでアップ。
なんか色々書いてて楽しかったw
二人のタキシード姿な結婚式、見たくありませんか?w


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