『最初から』

 

 

「よろしくな、船長。」


仲間になったゾロが、俺に向かって見せた満面の笑み。
ポンと肩に触れた手。


「ああ、よろしくな、ゾロ。」


俺も笑って見せたけど、内心は訳の分からない胸の痛みに動揺していた。
肩に触れた手の部分に熱を感じて、それが自分のものなのかゾロのものなのか。
それさえも分からなかった。


その熱の理由を知りたくて。


だから俺は海に落ちる。
助けてくれるゾロの腕に、やっぱり熱を感じるのか確かめたくて。
全身ずぶ濡れで、お前はバカかとゾロに怒られて。
それでも身体中が熱い。
身体の中から吹き出すかのような熱。
きっと赤くなってる顔を誤魔化す為に、イシシと笑って。


訳の分からない胸の痛みも身体の熱も、何故か心地よくて、もっともっとと身体中が要求する。
苦しくて、悲しいのに。
楽しくて、嬉しい。
俺の中はゾロで一杯だ。

 

きっと、
最初からだ。
俺はゾロに捕われていた。
俺が捕えたつもりだったけど、
俺が捕われていたんだ。
ゾロがいい。
ゾロでなくちゃダメなんだ。
ずっとこの先ゾロと一緒にいたいんだ。

 

最初からなんだよ。
だから最後まで付き合えよ。
そう言うと、今更何言ってんだとゾロは笑った。



 


 

ゾロとルフィはきっとこんな感じ。
多くは語らない、語る必要がない。
だって、お互いによく分かっているんだもん。

 

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2010.01.24