『想いはきっと同じ』

 

 

「だからっ!お前まだ怪我人なんだぞ!!」
「うるせぇ、ほっとけ。」

とある。
淋しげな古城。
ここの(人らしき)住民は今現在2名。
叫んでいるのはこの場に似つかわしくない可愛らしい少女。
もう1人は、身体中包帯を巻かれているにも関わらず、何やらトレーニングをしている緑色の髪の(多分)青年。

「全く、頭おかしいとしか思えねぇな!」
「何とでも。」

身体中怪我をしていて、動くのがやっとなはずの青年が、無心にトレーニングするのを少女は理解出来ずにいた。

辞めろと言っても聞かない。
じゃあほっとくしかないか。
夕方、もう一度包帯換えてやらないとな…。
そんなことを考えながら、新聞に目を通す。

「げっ!!これ麦わらのことじゃねぇか!?」
記事に驚く。
天竜人を殴っただと?!
それで全員行方不明だと?!
…ここに1人いるじゃねぇか。

ノロノロと、青年は少女に近付き、他になんか書いてねぇかと訪ねた。

「…いや、行方不明としか。」
「そうか…。」

その表情が辛そうに歪む。
「俺は…何も出来なかった。」

詳しいことは一切語らない青年だったが、少女には大体想像が出来た。
天竜人を殴ったため、出て来た海軍に追い詰められ、おそらくはあのクマの奴に飛ばされたのだろう。
全員。
しかもこの青年が真っ先に。

気の毒とは思うが、どこにいるかも分からない連中の為に動き回る程の体力を、今この青年は持ち合わせてはいない。
それが分かっていても、何かしなくては、と言う思いが、青年を動かしているのだろう。

少女は青年の思いをやっと理解した気がした。

「あ。」
「どうした?」
「デカいニュースが続くな。火拳のエースが公開処刑らしいぞ。」
「何?!」

青年は新聞を奪い取った。
少女が文句を言っても一切聞こえていないようだった。


「ここへ…」
「なに?」
「ここへ俺を連れて行ってくれ。」
「なんだと?!」

少女は何で自分がそんなことを?況してやお前そんな身体でどうすんだ?!と叫んだ。
青年は揺るがない瞳で少女を見つめ、
「頼む。」
と言った。

少女の胸がトクンと鳴った。
それを振り切るように、連れて行くとどうなるんだ?と訪ねた。

「エースはルフィの兄貴だ。」
「は・・・兄貴?!」
「だからルフィは絶対にここに来る。他の連中も必ず来る。」
「そんなもん来る訳ねぇだろ?!海軍だらけだぞ!」
「…いや……」

青年は思いを巡らせる表情をして、フッと笑った。

「来るなって言われても、全員来るだろうな。」


どう考えみても行かない方がいいに決まっている。
なのに、連れて行ってやりたいと思ってしまった少女は戸惑った。



…もう、傍にはいられなくなるんだな。



一つ溜め息をつくと、連れて行ってやるから少し休めと言った。
そんなボロボロじゃ行ったところで何も出来ねぇだろ、と言うと青年は渋々従った。


少女は羨ましいと思っていた。
こんな身体になってもなお、仲間を、船長を想えると言うことを。
そして見てみたいと思った。
彼等がしでかすことを。
彼のその想いの強さを。

 



 



待っち切れない〜〜ゾロ&ペローナが今何してるか〜〜
気になる〜〜!!
でもきっとペローナがゾロを連れてきてくれるんだ!!
だって・・・ゾロでは無理(切実)


 

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