『告白〜聞けよ〜』

 

 

「結婚しましょう。」
「はぁ??!」

この訳分かんねぇ会話の流れはなんなんだ。

怪我をして、入院して。
医者からプロポーズだと?
しかも初対面。

「だって、一目惚れなんだから、仕方ないじゃない。」
「だからって、お前なぁ…」

頭いてぇ…。
この医者、やべぇんじゃねぇのか?
早いこと、怪我を治して退院しねぇと…変に期待しちまう。
お世辞にも、一目惚れされるようなタイプじゃねぇのは分かってる。
今までそんなこと一度だってなかった。
なのに。
こんな美人に一目惚れなんぞ言われると、あり得ねぇと分かっていても…
その…ドキドキしちまうのはどうしようもねぇんだよ。


「お兄ちゃん、モテるのお。」
「スゲーよ。ロビン先生にプロポーズされるなんてさ。」
同室の連中が囃したてる。
「いや冗談だろ、あれは。」
そう言うと、みんな顔を見合わせ、それから一斉に首を横に振った。
「ロビン先生に限って、そんな冗談はない。」
「先生は、患者を傷付けるようなことはせん。」
そんなこと言われても。
普通信じられるか?


入院中、暇さえあればやって来ていた『ニコ・ロビン先生』。
退院が決まった夜。
「一緒にコーヒーでも飲まない?」
と誘ってきた。
まあ、一度くれぇは…いいか。

面会時間の終わったロビーには誰もいなくて。
照明も薄暗くて寂しげだった。
自動販売機で二人分の飲み物を買うと、俺に一つを手渡した。

「はい、どうぞ。」
「わりぃな。お、コーラ。」
「好きでしょ?」
「知ってたのか。」
「もちろん。」

いつもはストレートに好きだとか言ってくるのに、今日はなんか違う。
何だか急に緊張してきた。

「退院…」
「あ?」
「決まったのね。おめでとう。」
「ああ…まあな。」
薄暗いせいか、いつもは華やいだ微笑みが印象的な美人だが、今はなんだか寂しげな感じだ。
「色々、ごめんなさいね。迷惑だったでしょう?」
「ああ?なんだ、分かっててやってたのか?」
クスクスと笑う。
「だって、焦ってたのよ。入院中に気持ちを分かってもらわないとって。」
それって…。
「伝わらなかったけど。」
「オメェ…」
ドキドキする。

「だってよ、普通信じられるか?一目惚れだって。あんたみてぇな美人がよ。」
あんたと俺じゃ、美女と野獣だ。

「…あなた、生徒かばって怪我をしたんでしょう?」
「へ?何で知ってんだ?」
「お見舞いに来てた生徒さんと話してたの、偶然聞いたの。」
思いを廻らすような表情。
「お詫びとお礼を言う生徒さんに『オメェに怪我がなくて良かった』って笑ったでしょう?」
そういやそんなこともあったか。
「直感、かな。あの笑顔見た時、ずっとこの人を待ってたって思ったの。」

美人で、医者で、皆から信頼されてて、そんなスゲェ女が、
まるで白馬の王子を待っていたかのような話。
その王子が…俺なのかよ。

「俺は…そんなんじゃねぇよ。」
「あら、当たるのよ?女の直感。」
「俺の何も知ってるっつうんだよ。」

首を傾げ、しばらく考えていたロビン先生。

「そうね…何も知らないわ。」
「だろ?だから…」
「私、明日誕生日なの。」
「聞いてんのか、俺の話を!」
「お祝い、してくれないかしら?」

また。
華やぐ笑顔。
嘘をついてるようには見えない。
冗談とも思えない。
真っ直ぐに俺の目を見る、その瞳。

「本気、で言ってんのか。」
「ずっと本気よ、私は。」

本当は。
初めて見た時から惹かれていた。
素敵な女性だと思った。
そんな女性が俺のことなんか…そう思うと固くなに成らざるを得なかった。

「何をして欲しいんだ。ああ、結婚以外な。」
ロビン先生はキョトンとした表情を見せたが、直に笑い出した。
「そうね、結婚して欲しい。」
「オメェは人の話を聞けよ!」

クスクスと笑い続けるロビン先生。
すでに相手のペース。
俺の気持ちを見透かされている。
これでいいのか?
こんなペースで進められて。
だけど。
きっと『NO』とは言えない。
俺の話は聞いてなくても、心の声は聞こえてる。

「聞けよ、人の話は。」
「ええ、結婚してくれたら。」
ああ。
結婚したら、話してやるよ、俺という人間を。
一生かけて話してやる。
だから、ちゃんと聞けよ。
一生かけて、聞いてくれ。

 

 

                    



 


 

ロビン誕SSです。
うう、やや間に合いませんでした。
私の中ではロビンと言えばフランキーなので、今回もフラロビですww
ああ、うちはロビフラっぽいですけど(笑)
気が付いた方がいらっしゃいますでしょうか?
この二人の設定に。
私の小説を全部読破していただいてる貴重な存在の方々にはもしかして分かったかもしれませんが・・・。
「a promise」の2話目、「視線」に出てくる体育教師フランキーとその妻で医師のロビンです。
いつかこの二人の話を書いてみたかったんですよ〜〜!
書けて良かった!!
ちょっと遅くなったけど、ロビン誕生日おめでとう!!

2009.02.08


 

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