『告白〜馬鹿なんだから〜』
「馬鹿ね、ホントに。」
「すいません…ナミさん…」
一週間前。
もうすぐ誕生日だとサンジくんが言ってきた。
「あなたを誰よりも愛するこの僕の生まれた日、是非とも二人切りで祝いましょう!」
「…なんでよ。」
「素直じゃないナミさんも好きだ〜!」
もう。
全然人の話聞かないんだから。
いつもこの調子。
押して押して、押しまくる。
正直、こんなタイプの人には出会ったことがなくて、どこまでが本気なのかよく分からない。
結局、サンジくんの誕生日に、サンジくんの家で夕食を食べることになった。
もちろん、サンジくんが作ってくれると。
当日。
サンジくんから連絡が入った。
「…すいません、ナミさん。今日は…ちょっと…」
酷い鼻声。
「何?!ちょっとどうしたのよ、その声?!」
つまり。
自分の誕生日なのに、私のためのスペシャルディナーを作ろうと、あれこれ睡眠時間を削って考えていたらしい。
結果、体調を崩してしまったのだ。
馬鹿。
ホントに馬鹿と思う。
自分の誕生日に人のために頑張り過ぎるなんて。
「ああ、もうっ!」
放っておける訳ないじゃない。
だって、だって…私の為だったんでしょ?
サンジくんの家へ行くと、案の定、サンジくんは酷い風邪で。
熱もかなりあって。
「はい、風邪薬。ちゃんと飲むのよ!ああ、何か食べられそう?お粥作ってきたんだけど。」
「い、いただきます!」
しんどいクセに、無理に笑顔作って、美味しいですって…多分、ほとんど味覚なくなってるだろうに。
こんな時まで、私に気を遣うなんて、ホントにホントに…
「馬鹿なんだから。」
それでもにっこりと笑う。
「俺にとっての、最高の誕生日ですよ。」
「え?どうして?」
こんな辛そうなのに。
「ナミさんの手料理食べて、看病してもらって。これ以上ない位、俺幸せな気分です。」
なんで。
なんでこんなに真っ直ぐにに、相手に想いを伝えられるの?
どうしてこんなに、切ない気持ちにさせるの?
なんだか胸の奥が苦しくて、頭の中がグチャグチャで。
何かをサンジくんに伝えたいと思うのに、何を言ったらいいのか分からない。
ああもう。
馬鹿なんだから、私も。
私は黙ったまま、サンジくんの手を握り締めた。
サンジくんは驚いた顔をしたが、これ以上ない笑顔を見せ、私の手を握り返してくれた。
ごめんね、サンジくん。
これが今の私の精一杯。
素直じゃない私には、これが最上級。
そうだな、それでも。
サンジくんの風邪が治ったら、今日のリベンジさせてあげる。
飛びきり美味しいディナーをご馳走してくれたら、ちゃんと言えるかもしれない。
「サンジくん、大好きだからね。」
サン誕SSです。
一日早いアップです。
めずらしい(笑)
色々思うことはあったんですけど、私がサンジのことを『サンジくん』と呼んでいるのは
やっぱりナミさんと対に思ってるんだと思うんですよ(日本語がおかしい?)
そう、だからナミもナミさん。
この二人のカプを意識したことはなかったんですけど、そんな感じなのかぁとか思いつつ書きました。
ゾロスキーのくせに、ゾロ出てきません(笑)
サンジくん、19歳の誕生日おめでとう!!
2009.03.01