『きっといつでも』

 

 

信じられない。
私の想いがあの人に届いた。
フランキーはずっと嫌がっているのだと思っていたから。

一目惚れ。
そんなことなんてあり得ないと思ってた。
だって、出会った瞬間に、なんて。
言葉や理屈では説明出来ない感情なのね、恋に落ちるって。

「ねえ。もうすぐ誕生日よね。」
「…なんで知ってんだ、そんなこと。」
「カルテ。」
「…ああ、なるほど…ってオメーは何してんだよ!」
だって、知りたいんだもの、あなたのこと。
なんでもいいの。
知りたい、あなたのこと。

「私にして欲しいこと、ない?」
「ああ?」
「誕生日、でしょう?」
「プレゼントってことか…」
そうだな、としばらく考えていたフランキー。
「んー考えとくな。」

え?
すぐに思いつかない?
それとも、どうでもいいとか?
そうなの?
どうなの?フランキー。
なんだかモヤモヤした気分。
想いが届いたと思って浮かれていたけど、本当はそうじゃないのかも…。
そう思うと切なくなった。
お願い、フランキー。
本当のことを言って。

 

フランキーの誕生日、当日の朝。
『おお、俺だけど。』
「おはよう。どうしたの?こんなに早く。」
携帯から聞こえるフランキーの声はなんだか楽しそう。
『今から出られるか?』
「今から?」
行かない訳がない。
あなたに会えるなら。
二つ返事で答えて、約束の場所へ急ぐ。
何だろう、何だろう。
ドキドキした。
胸が痛かった。
私の不安は、ただの思い過ごし…よね?

「お!早いじゃねぇか、ロビン!!」
「…おい、フランキー。美人すぎるな。んまー何かの間違いだろ。」
「うっせーよ!黙っとけ、バカバーグ!!」
待ち合わせの場所にはフランキーと、もう一人。
「…俺の…兄貴みたいなもんだな。アイスバーグってんだ。」
「初めまして。」
「初めまして、ニコ・ロビンです。」

アイスバーグさんは、落ち着いた『大人』を感じさせる。
でもフランキーと向き合うと子供のように笑う。
ああ、この二人は通じ合っているんだわ。
なんだか羨ましい。

「さて、行くか。」
「ああ、そうだな。」
え?
何処へ?
「ロビン。お前にして欲しいこと。考えたんだ。」


連れてこられたのは、何だか高そうなブティックで。
なんでもアイスバーグさんのお店らしい。
奥は美容室になってるみたい。
ここで全部コーディネート出来るって訳ね。


「フランキー。二時間、だな。」
「おお。そうか。」
「二時間?」
フランキーがこちらに振り返って、私が大好きな笑顔を見せた。
「ロビン、じゃあ後でな。」

何?
どうなってるの?
店を出ていくフランキー。
アイスバーグさんは笑顔のままで。

 

二時間。
あっという間。
「アイスバーグ…さん…」
「フランキーはこれが見たかったんだと。」
信じられない。
こんなこと、ホントに?
呆然の自分の姿を鏡で見つめる。
その時、店のドアが開いた。

フランキーと目が合う。
でも、お互いに何も言えない。
お願い、何か言ってよ、フランキー。

「どうだ、フランキー。最高の出来だろ?」
アイスバーグさんの一言で、ようやくフランキーが口を開いた。
「すげ…綺麗…だ。」

白いドレス。
ケープにブーケ。
どこからどう見ても花嫁な私。
フランキーの言葉に、嬉しくて私も笑顔になる。
「ああ、それ。それだよ、ロビン。」
「え?」
それって、なに?
「オメェはいつも微笑んでたりするけど、心から笑うっつー感じじゃねぇんだよな。
 俺、オメェの笑顔、見たかったんだ。それで、何が一番嬉しいかなって考えたんだ。」

優しい人。
前からそう思ってはいたけど、とても優しい。
フランキーは分かっていたのね。
私が上手く笑えないことを。
女医って実はなかなか大変で、実力があると男から妬まれることも多い。
本心を隠し、ポーカーフェイスをしてきたから…上手く笑えない。

「フランキー…。」
涙が溢れた。
熱い想いが次から次へと。
「ああ?!な、なんで泣くんだ?!嫌だったか??」
「…だからお前はバカンキーなんだよ。」
「何だと!バカバーグ!!」
「じゃあアホンキー。」
「ほぼ同じだ!言い直した意味ねぇし!!」

二人のやりとりにおかしくなって思わず笑みになる。
フランキーも私に気が付き、私が大好きな笑顔を見せた。
「フランキー、ありがとう。」
「ん?礼を言うのは俺の方だ。」
「え?」
「こんな俺を好きになってくれて。ロビン…結婚、しような。」

今私は、きっと最高の笑顔。


「写真、撮りましょうか?」
アイスバーグさんが撮ってくれた二人の写真。
最高のプレゼントと、フランキーは言った。
でもきっと、一番最高を味わったのは私に違いない。
フランキーはやっぱり思っていた通りの人。
いいえ、それ以上。
大好き、大好き、フランキー。
ずっとあなたと一緒にいたい。
あなたといれば、私は笑顔でいられるに違いない。

きっと、いつでも。

 



フラ誕SS、好評につき(?)体育教師フランキー×医者ロビンシリーズです。
ベタ惚れなロビンを書くのは結構楽しいです(笑)
そんなロビンにフランキーならどうするかな・・・なんて考えてたら・・・こうなった(なんで)
ラブラブな二人が大好き!!
フランキー、誕生日おめでとう!!

2009.03.08

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