『 一番 』



ゾロが昼寝をしてる。
また同じとこで。
昼寝してるゾロを見るのは好きだ。
規則的に動く胸は、ゾロの平穏を意味するから。


トレーニングをしているゾロ。
戦っているゾロ。
どっちも本気モードで、息を切らし、あの切れ長の目が鋭く光る。
めちゃくちゃカッコ良いゾロ。


そんなゾロの休息する姿は、ホントにリラックスしていて、見ていて穏やかな気持ちになる。


邪魔したくないって思うから、側に行くだけ。
そうやって眺めるのが俺の日課。
でも本当は…


触れたい。
ゾロに触れたい。


いつもみたいに皆が楽にポンポンって肩に触れるのと違って、寝ているゾロってのは…
なんかこう上手く言えねぇけど…許されたヤツだけ、そんな気がしてて。


ゾロが俺を船長として認めてくれてんのは分かってる。
でも、俺に全てを許してんのかって言うと良く分かんねぇ。


ふわふわと揺れるゾロの髪の毛を見ながら、
切なくて、
嬉しくて、
悲しくて、
楽しくて、
寂しくて。


こんな想いをさせるゾロがちょっとだけ憎らしくて。


側にいたい。
触れたい。
でも…出来ない。
こうして見つめることさえも、切なくて…。


堪らず、空を見上げる。


なあ、ゾロ。
お前にとっての俺は、どんなだ?
好きな順番で言ったら、何番だ?
一番じゃねぇと、俺は嫌だな…。


「…一番だ。」
「へ?」
声の方へ目をやると、目を閉じたままのゾロが、ニヤリと笑っていた。
「何で俺の考えてることが分かったんだ?ゾロはチョーノーリョクシャか?!」
「どこで覚えたんだ、そんな単語。」
今度は薄らと目を開けた。
「考え事ってのはな、ルフィ。」
「うんうん。」
「声に出さずに頭ん中でするもんだぞ。」
「へ?」


ゾロがクックと笑う。
「俺…しゃべって…た?」
一瞬、ゾロが目を見開いて俺を見て、それから肩を震わせて爆笑した。
「なっ…そんな笑うなっ!ゾロはシッケーだなっ!!」
恥ずかしいのと悔しいのとで、俺の顔は多分真っ赤だろう。
そう思うと余計に恥ずかしくなっていく。
「ゾロなんかっ、ゾロなんかっ!」
そこまで言って、さっきのゾロの言葉を思い出す。


『一番だ。』


「…ゾロの一番は…俺?」
そう自分で言ってから、ゾロに視線を戻した。
爆笑していたゾロはいつの間にか起き上がって、俺を見ていた。
「そうだ。」
と言うと、俺を乱暴に抱き寄せた。
「お前がいるから、俺は強くなれる。お前がいるから…」
さっきまで少し意地が悪い感じだった瞳が、突然優しく潤む。
「俺の一番はルフィだ。お前の一番は…どうなんだ?」
照れ臭そうにそう言うゾロが、俺には一番だと思うから。
「…ゾロに決まってんだろ。」
俺の言葉にゾロは、見惚れる程の笑顔を見せた。


そして優しい優しい、キスをくれた。



 


2012.03.04


拍手する     

 



このSSは、2009年に発行されたゾロルアンソロジーに投稿したものです。
何を今更・・・なんですが、友人に「アップしないの?」と言われながら、なかなかしなかったという・・・
まあ折角なのでアップしようと、ようやくですww
こんな風に、コントのようなやりとりをしている二人がすんごい萌えますw
かわいいですよねーーーー(ニッコリ)


NOVEL TOP