『欲しい』




ゾロを
抱く。


その
潤んだ瞳や
赤い頬や
熱い息を吐く口や
汗ばむ肌や
熱を帯びた身体も
全部全部
俺の腕の中にある。
俺のゾロ───。


なのに。
どれだけ抱いても抱いても
足りない、全然足りない。
なんで?
俺はこんなにもゾロを愛していて、
ゾロはいつも、
俺の腕の中で。


違う?
何かが違う?


その時、ゾロが大きなため息をついた。
そう言えば、ゾロは俺に抱かれている時、決して声を出さない。
メリーの時は狭いから分かるけど、今は広いサニーだし。
何より上陸して宿にいる時でもそうだ。


「ゾロ。」
「…ん?」


ゾロの切れ長の目が、色っぽく俺を見つめる。


「…なんでもねぇ…」
「…そうか。」


ゾロを
抱く。
めちゃくちゃになるまで。
ゾロが俺を欲して、
その喉から声を発するまで。
俺を欲して、
喘ぎ、哭くまで。


────────────

ルフィに
抱かれる。


ルフィの
熱い抱擁や
キスや
愛撫や
ルフィの猛るものを受け入れ、
俺の中で
俺とルフィが混ざり、
ひとつになる喜びを感じる。


俺の中はすでにルフィで溢れ、
お前の全てを俺のものにしたい、そんな欲望に捕らわれる。
俺はお前のものであっても
お前は誰のものにもならないと言うのに…。
お前は、
海賊王なのだから。


これ以上、
お前に溺れ、
我を忘れてしまわないように。
だから。
ギリギリの俺の精神を保つため、
お前を欲する声を上げない。
一度声を上げれば、
俺の全うすべき道を全て忘れ、
お前だけを求め生きる人間になってしまうから。
それは、お前の本意ではないはずだ、ルフィ。


ルフィに
抱かれる。
めちゃくちゃに。
身体がお前を求め、歓喜に震える。
だが、分かってくれ。
俺はそんなに
強い人間じゃねぇから。
分かってくれ。
俺はお前が欲しくて
しょうがないんだ。


 

 

 


 

大好きな大好きなひかるこさんのサイト「room1156」の2周年記念にプレゼントさせてもらったSSです。
妄想段階ではもうちょっとラブラブ?な感じだったと思うんですが、気が付いたらなんかすれ違い気味?(汗)
それでも好き好きな二人は伝わるかな?
こんなんもらってくれたひかるこさんに感謝!!!



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