『 本日も異常なし 』



「お前、馬鹿か?」
「へ?何で?」
きょとんとするルフィに俺は盛大に溜め息をする。
「お前なぁ…」
「だって、分かんねぇんだもん?」


たった今し方、
ルフィは俺に向かって『ゾロが好きだ!』と言い放った。
訳が分からず茫然としていたら、抱き付いて、キスをされた。
訳が分からねぇ。
ホンットに分からねぇ。
何で俺だ?


「ゾロはおれがキライか?」
首をかしげてルフィが言う。
「好きとか嫌いで言えば好きなんだろうが、」
「ん!!じゃあ問題ねー!!」
人の話を聞きゃしねぇ(いつものことだが)。
ニッコニコのルフィに言葉が出て来なかった。
ルフィは機嫌よさそうにピョンピョン跳ねながらキッチンへと消えた。
サンジー!おやつ!!と叫ぶ声が聞こえて自然にこちらも笑顔になる。
ふうむ。
まあ、すぐに飽きるだろう。
またナミかロビンにでも変な入れ知恵されたに違いない。
全くアイツらは…


ルフィにキスされた唇に手の甲をそっと触れさせると、胸の辺りがきゅうっと痛んだ。
さっきのキスをリアルに思い出してしまって、落ち着かない感じがする。
嫌いな訳はない。
アイツの無鉄砲なところ。
自信たっぷりなところ。
真っ直ぐで、嘘のないところ。
いいと思ったからこそ、海賊になることも受け入れた。
それを好きと言うのかは分からねぇが。
ルフィの行動に思ったほど嫌悪してねぇ自分にも驚いてる。
らしくねぇ、柄じゃねぇ。
んなことはよく分かっている。
ドキドキとイライラと、訳が分からねぇ感覚に昼寝もはかどらない。
自分の唇を人差し指でなぞり、大きく息を吐いた。


ふん。
そんなことにいつまでも振り回されるような俺じゃねぇんだよ。
明日にはきっと元通り。
ルフィだってそうに決まっている。
ああ、そうだ。
気にする必要はねぇ。
俺は大きく伸びをして、甲板に寝転がった。

 

「剣士さん、随分悩んでるみたいね。」
「ゾロが落ちる方に三万ベリー。」
「ナミ、これ賭けになんねぇじゃねぇのか?」
「ん〜確かに。」
「じゃあ、どんな落ち方するかにしたらどうかしら?」
「さっすがロビン!それいきましょう!」
「なあなあ、ゾロどっかに落ちるのか?ケガしねぇ?」
「ある意味、大ケガすっかもなぁ、ゾロ。」
「た、大変だぁ!お医者さーん!」
「お前が医者だろっ!」


「ナミすゎ〜ん、ロビンちゃゎ〜ん、午後のティータイムですよ〜〜ん!」
「サンジー!おれのはぁ?!」
「お前はさっき食っただろーがっ!!」
「あっ、ゾロゾロー!おやつ食うぞー!」
「お、おう…」

 

麦わらの一味。
本日も異常なし。


2012.05.24


拍手する     

 



ここんとこ、海賊SSをまともに書いていなかったので落としどころがいまひとつ分からなくなってしまいましたw
まあ、リハビリ的な?のだと思っていただけたら。
まだ出来上がっていない、初々しいゾロルとH子さんには評していただき嬉しかったSSですww


NOVEL TOP