『 一目惚れ 』


目覚めると、横にゾロがいて。
規則的に上下に動く胸を見て安堵する。

ゾロの寝顔を見るのが好きだ。
切れ長の目は閉じていても格好がいいから。
左の目が潰れてしまっていることにずいぶんショックを受けたけど、ゾロはゾロだと思うようになるのに、そう時間は掛からなかった。
通った鼻筋も、薄い唇も、みんな好きだ。
髪の毛は案外柔らかい。
チョッパーが若草みたいだぞ!と言っていたのも頷ける。


初めて見たときは、何かいいな、と思った。
約束を守りぬく生き方にすげぇと思った。


『ナイス、ゾロ。』
『お安い御用だ、キャプテン。』

あの瞬間から、おれ達は仲間になった。
最初の仲間に嬉々としていたおれに、ゾロはバンダナを取り、

『改めて、よろしくな、ルフィ。』

と笑ったんだ。
笑顔と、
鮮やかな緑色の髪と。
思えばこの一瞬で、おれはゾロに惚れたんだと思う。



「…どうした、ルフィ。眠れねぇのか?」
「お?起こしちまったか。すまねぇ。」
思い出しながらゾロの髪に触れていたらゾロがうっすらと目を開けた。
しばらくジッとおれを見つめて、それから無言でおれの胸に顔を埋めた。
おれの目の前に、緑色の髪。
何だか分かんねぇけど、胸がきゅううっと締め付けられて。
ゾロの頭を抱き抱えるように、ぎゅうっとした。


「ルフィ、苦しいって。」
「うお?!ちょっとギュッとしただけだぞ??」
お前のちょっとはちょっとじゃねぇってと、おれの腕の中でクックッと笑うゾロが、どうしようもなく好きだと思う。


「駄目、ゾロそんなん反則。」
「ん?何がだ?」


見上げるようにおれの顔を見たゾロに、触れるだけのキスをした。
ふっとゾロが笑う。
「お前の方が、反則。」
「へ?」
そのまま首筋に噛み付かれた。
「っ!」
「…煽ったの、そっちだろ。」


腹の傷を指でなぞられる。
「こんな傷、付けられやがって…」
言葉とは裏腹にその表情は、何だか穏やかで優しい。
「ゾロだって、そうだろ。」
ゾロの目の傷を指でなぞる。
おれの知らないところで出来た傷。
でも、だけどそれさえ愛おしいから。


きっとあの時、あの瞬間から。
おれの心を捕えて離さない。
「おれ、ゾロが好きだ。」
「…今更だろ。」
クスクスと笑うゾロに、今度は噛み付くようなキスをした。


 


2012.03.04


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いやもうなんで書いたのかさえも思い出せない(笑)
でもたぶん、ゾロの目の傷をルフィがどう思ってるかなーーって始まった妄想で出来たSSだと思う。
自分の知らないところで好きだった深緑の瞳がひとつになってしまった悲しみより、
更にゾロが強くなって、そして今傍にいる喜びの方が遥かに大きいんだろうって思う。
ね?きっとそうだよね?


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