『 誰よりも強く 』
傍にいるだけで、肌がピリピリとしやがる。
野郎…なんて威圧感だ。それ、
『覇気』と言うらしいな。
そうか、そいつをコントロール出来るようにしてきたって訳だな。
面白れぇ。
俺だって、
強くなる為に鷹の目にしがみついて修行した。
あの鷹の目にだ。
俺がいつか倒さなければならない相手にだ。まだまだ弱ぇ。
まだまだ強くなれる。
そいつを実感した。
二年の間、おまえが望む強さに上り詰めるため、無我夢中だった。「なんて顔してんだ、ゾロ。」
嫌そうに顔をしかめてから、ニヤリと笑ったよな。
「うん、でもスゲー強くなったな。」
愛おしそうに左目の傷を撫でられ、俺もニヤリと笑う。
「ああ。おまえ程じゃねぇがな。」きょんとした表情を見せたが、
すぐにシシシと笑いだした。
「ゾロ、覚えてっか?どっちが強えぇか喧嘩したこと。」
「ああ?なんだおまえ覚えてんのか。」
忘れるもんか、とルフィはちょっと懐かしそうに目を細めた。
「あんな風に、ゾロと喧嘩、またしてぇな。」
「…」
あの頃は、自分が一番と思っていた。
仲間になったからには、その義理は果たすつもりではいたが。
おまえが、
ルフィが、
海賊王になると言う言葉が、
俺の中で揺るぎないものになった時から、
ルフィの為に強くなりたいと思うようになった。
一味の為に強くありたいと思うようになった。
───ルフィより強く。
「アホか。またナミにどやされるぞ。めんどくせぇ。」
「そうだな〜ナミは怖えぇからなぁ。」笑ってから、ルフィは言った。
「もっと強くなれ。ゾロ。」
「…当然だ。」
誰よりも、
ルフィよりも強く。
それがルフィが俺に望むこと。誰よりも強く。
世界一強く。
◇ やっとやっと、帰ってきてくれたね、ゾロ。
お帰りなさい!!
もう、離れちゃ駄目だよ。
2010.11.01